第1回 逐次処理(順次処理)

1. 逐次処理

学習のポイント


[例題1.1] キーボードから1 つの整数を入力し,それを 3倍して1を加えた値を出力するプログラム1.


 プログラムは上から順に実行される.プログラムの中で使用する変数は,あらかじめ宣言しておかねばならない2.変数は値を保持することができるが,変数には,整数,実数,文字列等の値を代入することができる.最初に代入された値の種類によって,その後の扱いが異なるので,各変数がどのような種類の値を保持しているかに注意が必要である.

 1~2 行目では,変数として ab を宣言している.ここでは,変数名として 1 文字の英文字を用いているが,複数の文字からなる語を変数名として用いることができる.一般に,変数名として使用可能な文字の集合,および,変数名の長さは,プログラミング言語によって決められている3.変数を宣言しただけでは,変数の値は定まっていないので,その値を参照4 してはいけない.例えば,4 行目よりも前では,a の値が定まっていないので,矢印() の右辺にa を書いてはいけない5

 3 行目は,コンソール画面上に「整数:」と表示するための命令で,利用者に整数入力を促すためのものである.4 行目のinput() はキーボードから入力された文字列を読み込む命令である.矢印は,右辺の式の値を左辺の変数に代入することを示している.この場合,キーボードから数字列を入力するとその値が矢印の左辺に代入される.5 行目の*は掛算を表す記号である.この行では, a×3 + 1 の値が,変数b に代入される.6 行目で,変数b の値が表示される.5 行目を省略し,6 行目に a * 3 + 1 を表示する と書いても同じ結果が得られる.

 /*ではじまり*/で終る部分はコメントであり,プログラムの実行には関係しない.また,このような部分は複数の行に跨っても構わない.

練習問題

[練習1.1] キーボードから長方形の二辺の長さ(tate,yoko)を入力し,面積を表示するプログラムを書け.

[練習1.2] ある鉄道の運賃は,乗車距離をa (km) としたとき,(120 + 20 × a) 円と決められている.乗車距離を入力して運賃を求めるプログラムを書け.

補充問題

[補1.1] 2つの整数 a, bを入力し, を表示するプログラムを書け.(は x * xで計算する.)


1 プログラム例の行頭の数字とコロン(:) は,説明のためのものであり,プログラムそのものには含まれない.以下のプログラム例も同様.
2 あらかじめ型宣言する必要のない言語もある.wPENでも宣言せずに使えるように設定もできる.
3 例えばxDNCL では,先頭の文字は英文字で,2 文字目以降は,英文字もしくは数字でなければならないと決められている.
4 変数の値をみる(使う) ことを参照という.代入文の矢印() の右辺で,変数名が書かれているとそこで変数が参照されていることになる.
5 プログラミング言語もしくはその処理系によって,変数が自動的に(0 に) 初期化されるものもあり,そのような場合には代入する前に参照しても構わない.