ここでは、プログラミングとは何かについて、および、 授業を進めるうえでの準備作業について書きます。
問題を解くための手順のことをアルゴリズムといいます.計算機で問題解決をはかるには,まず,アルゴリズムを考えなければなりません.そして,最終的にはそれをプログラミング言語で記述する必要があります. プログラミング言語にはいろいろなものがありますが,どの言語も基本的な部分は共通しています.以下では,多くのプログラミング言語で共通する部分に焦点を宛てて解説します.授業で扱った言語で,アルゴリズムを記述できるようになると,あとは個々のプログラミング言語の文法を学びさえすれば,プログラムの作成は容易です.
アルゴリズムを記述するとき,計算の対象や途中結果などの値を記憶しておくための場所が必要になることがあります.この置き場所として用いるのが変数です.変数は名前がつけられた箱と考えると分かりやすいです.変数に値を入れることを代入といいます.変数に値が代入されると,箱の中にその値が保存されます.その後は,いつでも変数の名前を指定することで,その値を取り出すことができます.これを値の参照と呼びます.何も代入されていない変数の値を参照すると,その値は一般に不定です. 変数は,アルゴリズムにしたがって処理が進行する間に,このような代入操作によってその値が次々と変化していきます.変数は一つのプログラムの中で複数個使うことができます. 変数は,現実の箱とは少し違った次の特質を持っています.
1) 値を参照した後も,箱の中には値は残ったままである
2) すでに値が入っている箱に,別の値を入れると,元の値は消えて最後に代入した値のみが残る.
3) 変数には,整数,実数(小数点付きの数),文字列などを代入できる(整数と実数は,コンピュータの中で異なる種類とみなしている).ある変数にある値を代入したとすると,その後に代入する値も,最初に代入した値と同じ種類でなければならない.
アルゴリズムの記述は,通常,記述内容を前から順に処理(順次処理)していくことで,全体の処理を進めます.しかし,単純に前から順に処理していくだけでは済まない場合が生じます.ある種の条件によって処理の順序を変えたり (条件分岐),いくつかの文を条件が満たされなくなるまで繰り返したりする(繰り返し)必要が生じることがあります.このような順次処理,条件分岐,繰り返しの3つを基本制御構造と呼びます.
1) 順次(逐次)処理
特に指定しない場合,アルゴリズムの記述の上から順に処理される.
2) 条件分岐
条件分岐とは,ある条件を満足する場合とそうでない場合で,処理内容を変えたい場合に用いる.
3) 繰り返し処理
ある条件が満たされている限り,幾つかの文を繰り返し実行したい場合に,繰り返し処理を行う.